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第8回タイトル


 Mシリーズライカの場合は、M5までが真の「ライカ」と名乗れる資格があると言う人がいる。いっぽうライカ一眼レフでも、同様にSL2までがライカであり「R」シリーズは真の「ライカ一眼レフ」とは認めないという人もいる。

「ライカ」であれば、どれでもよい

 私は優柔不断であるから、ライカ正統派モデルを崇めるだけではなく、どのような形態であろうが、どこで製造されていようが、OEMのデジカメであろうが、コンパクトカメラであろうが「ライカ名」カメラがエンブレムにあることだけで、ありがたいと素直に思えてしまうほうである。偉いカメラ評論家センセイには怒られてしまうかもしれないが、それは一向に構わない。
 青少年時代にライカ経験がないからということもあるのだが、この21世紀の現代において、半世紀前の技術や作り込みで、カメラを製造することが到底不可能であることを、ここ10年にわたるライカ関連取材で知ってしまったからである。私は実現不可能な無理なことは言わない主義なのだ。いかにもライカであるという作り込みや作動感触が知りたければ、クラシックライカを使えばいいだけのことである。
 ライカの歴史などにも根本的には興味がないから、ライカは現行品であれ、中古品であれ、それを手にして撮影できれば満足であり、至福の時を過ごすことができるのである。
 大学時代にはライカM4なんかをを所有していた同級生もいたように記憶しているが、今では名前も思い出せないし、その時もどこか遠い国の人、という感じがしたものである。それくらいライカの存在は縁遠かったわけだが、ライカ物価指数を考えてみると、ここ30年の間に価値は暴落したとみるべきで、これを言い換えればライカもやっと特別な位置から私のような貧乏カメラマンのところに降りてきたともいえる。それでもライカを買うという行為はいまだに特別なこと、という認識はあるのだが。

 

 

※写真をクリックすると、大きなサイズで御覧頂けます。

ミノルタ製?のライカR3

ライカR3
初期タイプのズミクロンR50ミリF2つき。けっこう似合う組み合わせである。Leicaのエンブレム部分の厳つさがいい。
ボディ重量はけっこうあるけれど、操作フィ
ーリング的にはライカフレックス系のカメラと比べても遜色ないように思う。

 自分の人生の中で、最初に意識したライカ一眼レフは1976年に登場する「R3」からである。たしか大学の教師が所有していたのを見たのだが、どうにもこの教師が嫌味っぽく見えたことを覚えている。R3の性能についてはすでに書き尽くされていることだから、あらためて詳しくは述べないけれど、R3は日本は大阪にあった(というべきであろう。現在は御存知のとおりコニカミノルタとなった)ミノルタが、ライツとの協力関係から、ベースモデルを供給したものだ。
 このベースモデルとなったのはミノルタXEだから、R3は「LEICA」銘板のついた中身は日本の一眼レフカメラということもできるわけだ。ところが、R3には本家ミノルタXEの何倍もの価格がつけられていた。
 似たようなことは今でもあるし、OEM製品など、今では珍しくもないので、十分に納得をしているが、若かった私はかなり理不尽な思いをしたものであった。ブランド名に大金を払うという意識が薄かったからである。したがって、最初に見たライカR3の所有者である、この教師には良い印象を抱かなかったのであろう。
 しかし、時代は変わった。実はいま、ライカR3もミノルタXEも所有していて、両者ともに気まぐれに時々使っている。その中古購入価格は驚いたことに、両者ともにさほど変わらないのである。
 XEとR3はユーザーインターフェースはほとんど同じなのであるが、不思議なことに手にした時の感触は、かなり異なる感じがする。
 当り前のことだが、シャッターのフィーリングとか、品質の高さを感じさせる静かなシャッター音、巻き上げレバーの素晴らしく軽いトルク感などは、両者は、まったく同じであると言ってよい。

 

ライカR3の味つけ

 しかし微妙なボディラインの違いとか、レンズ鏡胴部分の作り込み、レンズ個々の重量が異なるということもあるのだろうが、手に感じるカメラとしてのバランスと存在感が違うのである。ライカのブランドとしての精神的な刷り込み効果もあるから、この潜在意識が作用して、自然とライカに甘い点をつけようとしているのかもしれないのだが、この微妙なフィーリングの差異というのは気になるものである。
 XEとR3は、基本的には中身は同じと言っても、シャッターはライツとコパルが共同開発した「コパルライツシャッター」を採用しているし、R3には、XEにはないスポット測光が内蔵されているし、専用MOTボディを使えばモータードライブによる撮影も可能である。機能的にもライカのオリジナリティがあるのは立派である。
 このスポット測光はライカであることへのこだわりであろうが、AEの指針表示方法はけっこう変わっている。
 絞り優先AE、スポット測光に切り替えた後に、シャッターボタンを半押しすると、AEロックされた時にファインダー内のシャッター速度指針が、すとんと下に落ちるのだ。これがまるでバッテリーの上がってしまったみたいな感じだから、使うほうがかなり焦る。指針の落ちる直前に示していたシャッター速度によって、露光が行われるわけだから基本的には問題ないわけだが、その直前まで示していたシャッター速度を撮影者は頭に記憶しておけ、ということらしいのだ。
 既存のボディに機能を付加するわけだから、どことなく無理が出てしまったということもあるのだろうが、欠点というよりも、何だか今では微笑ましいような表示方法のようにも思えるのである。
 両者とも、測光素子はCdsだから応答速度が遅いため、指針の動きがまったりしていてよい。応答速度が遅いのは欠点ではあるのだが、指針の動きというのは液晶とかLEDなどよりも目に優しく、人間の感覚とか行動に近しい感じもするのだ。
 もちろん暗いところから急激に明るい方向にカメラを振り、いきなりシャッターを切ったりすると、自動露光制御が間に合わず、適正露出にならなかったりする。これもまた今のカメラと比べれば大きな欠点なのだろうが、問題になるようなシチュエーションなどは、実はそうそうはないものであるし、指針の落ち着くまでの「間」みたいなものを大事にしてやりたいと思う。

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XDよりも多機能なR4

 R3の次機種R4は、1980年に登場。これもまたミノルタXDをベース機としたカメラであることが知られている。XDは世界初の両優先AE(シャッター速度優先、絞り優先を選択できる)機能を搭載した意欲的なカメラであった。レンズはミノルタバヨネット(SRマウント)のままであったが、シャッター速度優先AEに対応するためにレンズ側に改良が施された。
 簡単に言えば、ボディ側から絞り値を制御規制しても、正確な絞り値にするため、絞り連動ピンの運動量に改良が施されたのである。旧レンズはMCロッコール、改良された新レンズをMDロッコールと称した。シャッター速度優先時には、絞りリングは最小絞り値にセットする。
 XDはシャッター速度優先AE時の露光精度を増すために、シャッターを切った後に、実絞り値を再測光するための瞬間絞り込み測光機能が内蔵されていた。これは絞り値の運動誤差を、シャッター速度で補正して適正露出とする試みである。
 これならば、シャッター速度優先AEに対応していないMCロッコールをXDに装着して、シャッター速度優先AEで撮影したときに絞りが正しく機能しなかったとしても基本的には問題はない(少なくともシャッター速度の範囲内ならば適正露出になる理屈だ)はずであるが、あくまでもミノルタは、実際に作動する絞り値の正確さにこだわったためにレンズ側にも改良を施したのであろう。
 ちなみに、この瞬間絞り込み測光方式はMDレンズ装着時においても摘要されいていて、さらにはシャッター速度優先時に、絞り値のシフトによる許容範囲を超えた場合、シャッター速度がシフトして、適正露出とする機能に応用されている。ミノルタではこれを「サイバネーションシステム」と呼んでいるが、理屈からすればプログラムAEとまったく同じであると考えてよい。

 

 

XDの機能を最大限に応用する

ライカR6.2
エルマリートR35ミリF2.8つき。電池いらずのフルメカニカルカメラ。メーター表示などはライカM6とよく似ている。スナップによく使う組み合わせである。デザインは女性的な感じがする。シャッターはセイコー社製といわれており、このメカニカルシャッターが供給されなくなったため、製造中止に追い込まれたというウワサがある。

 

ライカR7
ミノルタXDベースの最終機と言われているが、随所にライカオリジナル機能が盛り込まれているので、XDからはだいぶ離れたという印象もある。ファインダー内のシャッター速度表示はデジタル式。マニュアル時は以前のR5まで、適正露出読み取り式だったが、定点表示になったのでとても使いやすくなった。スーパーアンギュロンR21ミリF4つき。

 XDをベース機としたならば、ライカR4に使用するRレンズ群にも絞り機構の改良を施さねばならないはずだが、どういうわけかこれは行われていない。つまり再測光システムとサイバネーションシステムを最大限に利用して、従来からあるレンズのほとんどをシャッター速度優先とプログラムAEで使用可能にしたのである。
 面白いのはXDにはサイバネーションシステムはあっても、プログラムAEの設定位置はなかった。プログラムAEの採用はR4オリジナルとしての機能である。なかなかの英断というものだろう。
 例によって、R4にはスポット測光も組み込まれ、ワインダー、モータードライブまでの使用を可能にしていたから、ワインダーしか用意されていなかったXDよりも進んでいる部分もあったわけだ。
 R4のシャッター速度優先AEの制御だが、シロウトなりに興味深い実験をしたことがある。方法はR4にレンズを装着し、シャッター速度優先AEにセット、同じ一定の光線状態のままワインダーを使用し、連続的にシャッターを切っている最中に、レンズ前面から絞りの運動状況を肉眼で確認するというものだ。
 どういう現象が起きるかというと、一定の光線状態なのに、シャッターを切る度に、絞りの穴の大きさが微妙に異なることが、肉眼でもわかるのである。この差異は、装着レンズの条件にもよるだろうが、想像以上に大きいものであることに驚かされる。この絞りの差異をサイバネーションシステムで補正して正しい露出に制御するわけである。
 ちなみに、ミノルタXDにシャッター速度優先対応のMDレンズを装着して、同様の実験をすると、絞り値は、ファインダー内の指示値とほとんど変わらずに制御されていることがわかる。やはりミノルタの場合は、レンズ改良には大きな意義があったともいえるのだ。
 ミノルタXDの機能の「いいとこ取り」をして、新しい機能を持たせたというところにライカの強かさを感じることができるのである。
 R4以降R7までは基本的には、XDベースのカメラとなっており(メカニカルカメラであるR6、R6.2を除く)日本のカメラでいえばマイナーチェンジ的なものであり、再測光システムの方法も同一である。これらの改良点は主にプログラムシフトやTTLストロボシステムの拡充であったから地道な発展である。

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オリジナルのライカ製R8

ライカR8
ユニークで個性的なデザインが魅力的。ズミルックスR50ミリF1.4つき。意外にも見かけよりもバランスがよい。手巻きでは辛いこともあるので、ワインダーR8をつけっぱなしにして使っている。機能的にはニコンF4あたりからAF機能を省略したと言えばわかりやすいだろうか。先進機能があるわけではないが、使いやすいカメラだ。

 ライカRはミノルタベースで今後も行くのかと思ったら、思わぬことに完全にドイツ製、すなわちライカ社設計の一眼レフが登場した。ライカR8である。発表は96年のフォトキナだ。
 その珍妙なカタチと不自然ともいえる大きさはかなり話題になったが、いぜんとしてMFのままであり、カメラデザインからみれば、モータードライブくらいは内蔵されていておかしくはないのであるが、なんとフィルム巻き上げレバーもついているから、機構的にはかなり保守的なものであった。ちなみにR8を分解したところを見たことがあるが、意外にも最新のAF一眼レフなみに中身はぎっしりと詰まっていた。
 じつは、私はこのR8を密かに購入した(笑)。当初はライカに耽溺するあまり、こうしたトンデモカメラ(?)までに手を出したと思われると思ったのである。冷静に考えてみると事実ではあるのだが、新しくMF一眼レフを発売したライカ社に敬意を表することにしたのである(これは本音だ)。少なくとも自分のフトコロを傷めないと、堂々とR8を評価することができないのではないかと考えたのである。
 このR8、見かけはかなりヘンなのであるが、実際に使ってみるとなかなか使いやすいカメラなのだ。最高速シャッター速度は1/8000秒なのに、液晶パネルの表示方法ではなくて、アナログなシャッターダイヤル方式が採用されていて、しかも半段ステップでの設定も可能である。フラッシュメーターも内蔵されており、単独でのロケなどには便利だと思ったし、ユニットとして組み合わせてゆく、ワインダーやモータードライブの存在も、かえって新鮮に思えた。各操作部の感触も悪くないし、シャッター音はあいかわらず落ち着いた感じで好感が持てるものであった。
 R8がデザイン的にヘンだと思う大きな理由は、ボディ上部の一眼レフ的なペンタプリズムの出っ張りがなく、平らに近くなっていることだろうか。雰囲気としては、何となくカブトガニなどの甲殻類を連想させてしまうところがある。カメラ前面のエラが張っている感じに、これまでのカメラを使っていた人たちは馴染むのに時間がかかるのである。
 ライカといえど、少しでもモトをとるために仕事の第一線に投入するのを信条としていた私であったが、前述した理由によりR8の実戦投入が遅れたのだが、ある取材で思いきってR8を使ってみることにした。この時に撮影した外人タレントが私のR8をみて、驚きの顔をしたのが快楽になり、その後は堂々と仕事にも使いだした。カメラにまったく興味のないシロウトさんでも、カタチが面白いからであろう、みなファインダーを覗きたがるのが面白かった。
 R8の開発費は膨大な額がかかっていたと流布されていたから、ライカ社にとっては、たいへんな決断のもとに開発が行われたカメラであったに違いないが、これまでの一般的な評価は高くはない。価格と機能のバランスがとれていなかったためもあるけれど、やはりそのカタチから受け入れてくれる人が少なかったのであろう。

 

 

R9の登場とデジタルモジュールR

ライカR9
最新現行機R9。旧タイプのズミクロンR35ミリF2、モータードライブR8
つき。発表されたデジタルモジュールRもモータードライブと似たデザインをしているので、組み合わせたとき、こういった印象となるだろう。自動露出の精度などはR8よりも確実に上という印象をもつ。使用感触などはR8と同一だが、各所に改善の跡がみられる。

 R8にやっと馴染んだなと思ったころ、時は2002年のフォトキナで、なんとR9が登場。これにもまた驚いた。あまり売れたとは思えないR8のそのままのデザインのマイナーチェンジバージョンとしか思えないカメラであったからだ。
 外装の材質をマグネシウム合金に変えたことで、100グラムの軽量化がはかられ、ボディ背面にしかなかったフィルムカウンターが上部にも増設されるなど、ユーザーの声を聞いた改良であるのは評価したいのだが、ユーザーは納得しているのだろうか。もっとも先に述べたように、R4〜R7までの機種も、日本製カメラと比較すればマイナーチェンジの部類に属する程度のものだから、ライカ社の技術進歩というのは、よく言えば慎重で、悪くいえば大きな進展がないのである。
 R9のボディ塗装はブラックのほか「アンスラサイト」と呼ばれるグレー色のバージョンが、新しく加わった。結晶塗装のようにも見えるために、一部では「お地蔵さん」などと揶揄もされたのであるが、私は通常のブラックモデルよりも、けっこう気に入っているのである。
 その後に発表された「デジタルモジュールR」も興味深い製品だ。2004年の秋には登場予定とのことだが、これはR8、R9のカメラ裏蓋をはずして交換することでデジタル一眼レフとする単独のデジタルバックである。これを使えば、35ミリ一眼レフとしては、希有なアナログとデジタルのハイブリッドカメラとなるわけである。
 このモジュールのカタチは「モータードライブR8」とそっくりなのが面白いが、シャッターは機械式のままであるから、おそらくこのためのチャージ機構が内蔵されているのであろう。
 このため、デジタル撮影時の作動音もモータードライブの作動音と似た音になるのではないかと勝手に予想しているのであるが、果たしてどうなるだろうか、非常に楽しみなことだ。
 R9に存在しているフィルム巻き上げレバーは、まったくの飾りとなってしまうかもしれないが、仮にこれも使用可能になったら相当に面白いと思う。世界初のフィルム巻き上げレバー内蔵デジタルカメラとなるかもしれないのだ。何かこのミスマッチな感じが、たまらないのだ。
 デジタルカメラもデジタルデバイスを除いたカメラ機能としては、そう遠くない将来、飽和したものになるだろう。ライカ社が、こうした独自のアイディアを示したことは、旧来のライカマニアから、新しいライカ使いたちまで全てに対応しようとしているということで興味深い。フィルムとデジタルの使い分けというのが一台のカメラで可能になるのだから嬉しい。

 

 

個性あるライカRレンズ

 ライカ一眼レフを支持している人は多くはないわけだが、この数少ない人々は一様にライカRレンズの性能を誉める。まるでライカ一眼レフでなければ撮れない世界があるように。
 本当はこれは怖いことで、そんなことはありはしないと言っても、信者たちは聞く耳を持たない。かくゆう私は、Rレンズの性能の個性は認めるけれど、突出した性能があると考えているわけではない。ただし、大事なのはM型ライカ用レンズと比較して、その差異を感じると思い込まないとライカ一眼レフの購入の理由がなくなることである。
 したがって実質的に差異が認められないとしても、固い意志を持って、ライカRレンズの描写特性は異なるのであると言い張らねばならないのだ(笑)。
 各レンズの描写傾向をここで細かく述べても仕方がないのだが、ライカRレンズで使用しなければならないレンズを数本述べておくことにする。
 まずはスーパーアンギュロンR21ミリF4レンズ。これは御存知シュナイダー社のレンズだが、最短撮影距離が恐ろしく短い。この超広角接写により、独自の世界が展開される。M型ライカにはできない芸当である。周辺画質はM型用の同スペックのレンズと比較して、確実に落ちるわけだが、私たちは新聞紙の複写をするわけではないからこれでいいのだ。
 次は72年に登場するズミクロンR35ミリF2レンズ。7群9枚構成の恐ろしく重いレンズはその鏡胴内に鉛でも仕込んであるのではないかと思えるほどである。この描写特性はとくにモノクロでの相性が抜群によい。絞っても硬くならない傾向があり、プリントのしやすさに驚かされるほどだ。またボケ味も独自のものがある。人気のM型用ズミクロン8枚構成とはまた異なった評価がされてしかるべきのレンズである。
 標準50ミリレンズは悩む。ズミルックスR50ミリF1.4もとても良いレンズだが、ここではズミクロンR50ミリF2レンズを推す。とくに64年から76年に登場した初期タイプのものは、標準レンズはかくあるべしという描写特性があると思う。私は他社メーカーの標準レンズの性能をいつもこのレンズと照らし合わせて性能をはかっている。
 このレンズも絞った状況でも焼きやすいネガができ、どこか線の太いような解像力も写真にチカラが出るみたいで良い。私の個人的な好みではF5.6あたりのシャープネスとボケ味のバランスがたまらない。カラーでのやや暖色系の色再現も魅力的なのだ。
 望遠系はズミクロンR90ミリF2がいい。これも1969年から登場する初期レンズがよい。M型用レンズと描写特性は同じだが、さすがに一眼レフ用だけあって使いやすいし、開放から芯のあるピントには畏れ入る。ごくわずかに絞ったときの、線の細いぞくっとするシャープネスと、階調再現の良さはまるで中判カメラで撮ったような再現性があるのだ。
 以上は私の勝手な論評だが、描写特性をじっくり見てゆくと、ライカ一眼レフ用レンズの味わいには個性があるのだ。これを見極めることができるかどうかということが、ライカ一眼レフ所有者のまずは最初の課題となるわけなのである。

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