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第2回タイトル


ライカMP6
 
私の所有する「番号はずれ」のライカM2ブラックペイント。こうした実用カメラがオリジナルかどうか、という論議は野暮というものである。 メディアジョイの巻き戻しクランク をとりつけると、さらに実用ライカ的になる。
 
ライカ社 http://www.leica.com

 連載第一回めで、ライカMP6のことを話題にしてみたら、それに続いての通 常市販モデルMPの登場である。両者の違いは一部の刻印文字、貼り革の違いということであるから、大きな違いはなく、MP6をことさらに絶賛してしまった私も、これでは立場がなくなってしまうというものであるが、ライカ社においての限定モデルのあり方については、あえて批判は言わないことにする。
 これもライカ社にしかできないひとつの商売のあり方だと思うし、実際にこれまで発売されたライカもシリアルナンバーとか、刻印のあるなしによって、まったく機能の同じカメラが何倍の価値にもなってしまうのが、ライカのライカたる所以であるからだ。
 よく考えてみるとMP6は○○記念とか誰それの生誕○年などという屁理屈もつけられてはいなかったから、何となく突然変異型記念限定モデルとでも言おうか。それが後に一部の手直しのみで通 常製品となるわけだから、もう何でもアリという感じがしなくもない。
 ただしこれだけは言える。ライカ社は、私たちが想像する以上に、しっかりとマーケティングを行い、とくに日本のライカユーザーのことをよく見ているのである。
ライカM7とハッセルH-1
 
 非常に象徴的な出来事だと感じたのは、ライカMP6より少し前に発表された、ハッセルブラッドH-1(フジGX645AF)とライカMP6、MPとのあまりに対照的な人気度の違いである。
 ハッセルの王道ともいえる6×6の基本フォーマットをあえて捨て、最新技術を盛り込み、645AF一眼レフカメラに挑んだのに、今のところ、こちらが心配してしまうほど、盛り上がり度が弱いように思うのだ。
 対してライカMP6、MPは久しぶりの注目を集め、私にみたところM7の人気をはるかに凌駕しているのではないかとも思えることである。
 これには、いくつかの理由はあるのだが、私の想像するに、これは価格設定の問題と、レンズを含めたブランドを生かし方の違い、あるいはデジタルイメージングを視野に入れた最新ハッセルと、あくまでクラシックなメカニカルカメラとして、ライカの伝統を継承したMP6、MPの立場の違いということがあるのではないか。
 断っておくが、ハッセルH-1のレンズ、フィルムマガジン等を共同開発したフジフイルムのカメラ、レンズ製品は、超のつく一級の性能を持っていることは、あらためて言うまでもない。が、H-1はダブルブランドカメラを世間に認知させる難しさを露呈させてしまった感じがある。同じハッセルのX-PANは、フジのTX-1のOEMであることはよく知られているが、こちらは本家のTX-1よりも評判が良いという話をハッセルに訪問した際に聞いた。このあたり、OEM製品であることが、世間に知られていたとしても、シングルブランドで冠したカメラを発売したほうが、潔さがあるというものであるし、ユーザーもわかっていても納得して購入するというものである。
 ハッセルは30年ほど前までは、プロのステータスカメラであり、実用的アイテムであったのだが、現在では、ライカと同じようなブランドを背景にしたカメラメーカーとして、とくに日本では認知されているようなところがあるのだ。

 
クランクは小さな六角レンチで取り付ける。装着感は確実。金属製のため、質感もよい。 巻き戻しスピードはかなり短縮される。

M2はどのアングルから見ても「絵」になるところがよい。 ファインダーまわりの額縁もないので、すっきりした雰囲気がある。 21世紀の今みても違和感はないから、MPはM2デザインを参考にしたのであろうか。
 
クイックローディングスプールは基本的には、M2用として開発されたものであろう。M3に使用する場合、フィルムカウンターを 0位 置に戻すには、スプールを引き抜かなければならない。いつぞやのフォトキナで、 これを無料で配付したという話を聞いたが最近では、かなり高価なアクセサリーになってしまった。

ブラックペイントボディのシャッターダイヤルは「塗り」の感じが厚ぼったいのがいい。 MPのシャッターダイヤルも小さくなり、回転方向もM6以前の機種と同方向に戻った。個人的には歓迎したい。

ライカMP VS M2
 
 「アサヒカメラ」のレポートで、ライカMPを手にした時、思い浮かべたのはライカM2のことである。その姿、カタチを見れば当然といえば当然なのだが、ライカ社の設計者のなかにもしかすると、ライカM2に熱心なファンでもいたのであろうか。
 それはさておき、ライカ社が出してきた新型Mに対する答がMPであったというのは、非常に興味深い。先のハッセルH-1のあり方とは、まったく逆の方法を選択したのである。従来のM2、あるいはM3と比較してMPの作りがどうのとか、巻き上げ感触がどうの、などという話は、今後一部において熱心になされることになるだろうが、私にはまったく興味はない。
 むしろ、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」みたいに、旧型のフォルムの機械の中に、最新の現代技術(MPはそれほど大袈裟な最新機能が入っているわけではないかもしれないが)を入れたということを評価したいのである。
 下手をすれば、単なる懐古趣味などと言われてしまいそうなMPだが、復刻などという特別 な手段をとることをせず、先祖返りができてしまうライカの底力を感じる。これも復刻0型ライカの評判がいまひとつであった教訓が生かされたのかもしれない。
 でも、MPにまず手を出してしまう前に、名機M2のことをもう一度見直してみたくなるというのは、しごく自然な成りゆきのような気がする。


M2との邂逅
 
 思えば、私が人生で最初に手にしたM型ライカはM2であって、本来ならば私を栄光のライカ道に引き込んでくれたカメラとして感謝(?)せねばならないところである。
 その存在は決して軽んじてはいないのだが、ここ最近は、その使用頻度は高くはない。個人的なライカへの想いとしては、M4のほうに、なぜか熱く傾注しているからなのだが、ほんとうはライカM2こそが、ファインダーの機能を中心としてみてみると、それ以降のM型ライカモデルの母体機となっていると言っても過言ではないように思う。
 こうしたM型の基盤的存在のライカが、ブラックペイントボディや、よほどの特殊なモデルではないかぎり、今では廉価に入手できるということを、私たち実用ライカユーザーはもう少し喜んでよいはずである。おそらくM2はM型クラシックモデルのなかでは、もっとも入手しやすい機種であると考えてよい。ならば今一度評価されてもよいはずだが、製造台数が多いからなのであろうか、愛用者が多いわりには、あらためて見直されたとか、熱く論評されて記事になったという話も聞くことがない。


M2だけの特徴
 
 私が手にした最初のM2は初期のタイプだったので、フィルム巻き戻し解除が、ボタン式のタイプのモデルであった。最も最初期のものは、フィルムを巻き戻すあいだは、ずっとこのボタンを押し続けなければならない方式だったが、私のものは一度ボタンを押せばよいタイプであった。
 しかし、M3なりあとのM4のデザインを見てしまうと、このボタンの存在が「ゲゲゲの鬼太郎のメダマのオヤジ」みたいに見えてきて、気に入らなくなってしまい、使いたくなくなってしまった。私はライカに対してデリケートな感性をもっているのである。
 現在所有しているのは、その素性が、かなり妖しいと思われるブラックペイントボディだが、これとて、セルフタイマーレバーの存在がウザイ。今、私が熱くなって探しているのは、何の変哲もないクロームボディの後期型で、セルフタイマーレバーのないモデルである。だから、最新のMPもどちらかと言えば、クロームボディに惹かれる。
 M2で、もっとも高く評価されるのは、35、50、90ミリの各ブライトフレームが単独で現れることである。
 M4-P以降のM型がブライトフレームの数を増やしたのは、ライカ交換レンズを売りたいというのが本音であったからであろう。 M2にはM3にはない、35ミリのフレームが単独で出現するところに、以降のライカと比較すると大きな特徴があり、スナップや報道写 真家においても歓迎されたとしている。広角レンズの使用に適したライカらしさが、M2から出てくるのである。
 ただし、個人的には被写界深度を示す距離計部分の上下のノッチが、少々邪魔なような気もする。二重像合致方法でのピント合わせでは何の問題もないのだが、上下像合致方法でピント合わせをしようとすると、この存在が気になるのである。実際にこのノッチを使って、あらかじめ深度を推し量 り、スナップをするという人には、これまでお会いしたことはないので、なおさらである。

ライカビットは是か非か
 
 M2には元祖ライカビットMP用のシャフトが内蔵されているので、使用することができるのだが、周知のとおり、M2本体よりもライカビットMPのほうが、何倍もの価格となっており、その姿もみることは稀だ。実は私はこのライカビットMPを所有しているのである。たしか購入したのは20年くらい前だったけれど、この時でもすでにM2本体と同価格くらいはした記憶がある。私のまわりの真摯な写 真表現者、あるいは友人たちは、当然、私のこうした無駄使いに呆れていたことを思い出す。
 もともとフィルム迅速巻き上げ装置の存在の必要性というのは、バルナックライカのように、ノブ式の巻き上げ方式を採用しているカメラならば、まだわからないでもないのだが、小刻みでのスムーズなフィルム巻き上げレバーの作動感触をもつM型ライカには、一切必要のないものであり、その登場時から、趣味の要素が強かったのではないかとも考えてしまう。  ビットのレバーによるフィルム巻き上げで、左手がとられてしまえば、ピント合わせはできないから、装着レンズは広角レンズ系に限られるであろうし、このレバーは作動量 が大きいから、連続して撮影しようとすると、カメラ本体が大きく動揺する。これではブレの危険も増すというものである。となれば、速いシャッターを切っていないと危険であるから、撮影条件もおのずと限られてしまうことになる。
 MP6、MPで、あらためてライカビットMを用意してきたライカ社も大したものである。私のこれまでの経験では、ライカビットがあったからこそ、「シャッターチャンスをものにした」あるいは「良い写 真が撮れた」ということは一切ない。つまりライカビットの存在は実用というよりも、無意味にライカにウェイトをつけ、重量 を増して、手首を鍛えるという程度の実用性しかないように思う(笑)。
 しかし、ライカ社はライカビットMPの市場人気を、しっかりと掌握していたのである。ライカ社にとっても、ほんのお遊びのものとしかみていなかったアクセサリー、ライカビットは、今回はしっかりと商売のためにラインアップしたのである。例のカナダ製のサ−ドパ−ティ製品にだけ、オイシイ思いをさせてはいけないと考えたのだろうか。
 このようにライカビットを装着しても、単なるゲタをはかせたノッポのライカを作りだすだけだと思うのだが、こうしたフォルムに強い魅力を感じてしまうのは、ライカ病の進行具合が深刻な証拠である。しかも、私たちは、本当は必要ないなどと言い訳を言いつつ、しっかりとこれを購入したりする。これはココロのどこかにスキがあり、ライカの言うことならば騙されてもいいという「心構え」が、どこかで芽生えてきている証拠である。そういう意味ではライカビットが装着できるライカは、真面 目な写真表現者をダークサイドに引き込む危険なものなので、注意しなければならない。まかり間違っても、せっかく廉価に購入したM2にライカビットMPを装着しようなどと考えてはならないのである。

M2をM4にする!
 
 さて、話をM2に戻すことにしよう。先にM4があるから、M2の使用頻度が減ってしまったと書いたけれども、M2を特別 な改造などを施すことなく、M4に限りなく近づける方法がある。
 すでに御存知であろうが、メディアジョイから、M2のフィルム巻き戻しノブに装着できるアダプターが用意されているから、これをまず装着すれば、フィルム巻き戻し速度はM4とほとんど同じになるわけだ。ライツがノブ式のフィルム巻き戻しにこだわったのは、静電気の影響によるカブりを防止するためという理由を聞いたことがあるが、これなど、21世紀の最新フィルムに当てはまる言葉ではない。
 このアダプターは、かつてニューヨークライツで用意していた同種のアクセサリーとデザインが似ていて、金属製である。付属の六角レンチで固定できる本格的なものであるから、その実用性、デザインバランスは秀逸である。MPにも同種のアクセサリーが用意されたが、これはノブをすっぽりと被せる方式ではなく、上面 と片面を被うようにできている。現在は価格が決まっていないがおよそ2〜3万円コースになるというから畏れ入る。ライカ社はノブ式に先祖返りした批判をかわすために用意したアクセサリーで、また商売をしようと目論んでいるわけである。なかなかに見上げた根性である。
 さらにM2をM4に近づけるためには、フィルム装填を簡略化しなければならないが、これは中古でラピッドローディングスプールを探し出して使用すればいい。これであなたのM2はM4に変身するというわけである。
 ただし、ここで間違ってもM2Rなどという邪悪なライカを選択すると、あなたのライカ人生は、必ずやダークサイドに置かれ、そこから抜け出すことは難しいので、注意しなければならない。
 あとは、M4にある自動復元カウンターの存在をどう見るかだが、これくらいは許してあげてほしい。カチカチとダイヤルを回してカウンターをセットするというのもまた一興ではないかと考えるのである。カウンターなど自動復元しなくても、生きてゆける。
 なに?135ミリのフレームがないから、やっぱりM4にはならないって?そういった、へそ曲がりさんは、素直に135ミリのビトムを使って、フレーミングすればよいではないか。
 ちなみに、私もヘクトールとかテレエルマー135ミリレンズは所有しているけれども、ここ5年ほどで、3回しか使っていない(笑)。もしM型ライカと135ミリレンズの組み合わせで、自分が満足できる写 真ができたとしたら、ここにおいて、すぐにでも発表したいくらいなのである。
 ライカというのはその誕生の時から現在に至るまで、実は私たちが大騒ぎするほど、さほどの進化をみせていないのではないかと考えることがある。世界に衝撃を与えた最新機能をもったM3が極端にI型ライカと写 りが異なるわけではないし、その基本構造も実は大して変化はない。
 だから、新しいライカを購入する資金があるならば、感材やら、撮影旅行のための交通 費などの撮影資金に使うというのが、正しい写真表現者の本当の生き方である。
 と、いうふうに私が言っても、何ら説得力はもたないことは、じゅうぶんに承知しているけれど、廉価な実用M2を購入して、新型MPへの物欲を何とか鎮めようと考えるか、MPを購入して、ライカの歴史的名機M2を偲ぶのか。今後の大きな悩みとなる。
 さて、あなたはどうしますか?

 
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