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第1回タイトル


ライカMP6
コニカヘキサーRF2001リミテッドエディションモデル。通常モデルと異なり、チタンカラーが採用され、50ミリF1.2レンズと組み合わせて発売された。本機の一番よいところはロゴがボディ右肩に寄っているところではないかと思っている。これにより、やや品位が出てきた。限定2001台。  
コニカ パーソナル向製品情報 http://www.konica.jp/personal/
コニカミノルタホールディングス株式会社 http://jp.konicaminolta.net

ヘキサーRFの人気度

 今年2003年に行われるミノルタとコニカの経営統合により、今後はカメラ名は「ミノルタ」ブランドを使うということが発表されているらしいが、心配なのは「コニカ・ヘキサーRF」の今後の存続である。ヘキサーRFは99年末に発表されてから、今年4年目を迎えるわけだが、当初の販売店の期待ほどの数は出ていないという話を最近になって聞いた。
 私は発売当初からのヘキサーRF愛用者であるから、こうした話を聞かされて面白いわけがないのだが、正直に言うと、どこか納得してしまうようなところもなきにしもあらずだ。この理由はいくつかある。
 Mマウントレンジファインダーカメラの元祖であるのは言うまでもなくライカなわけだけれども、まずはこの「ライカ」というブランドの存在の大きさが、ヘキサーRFの前に、大きく立ちはだかっている。もちろんコニカはこれを重々承知の上、開発を行ったことは間違いない。
 私たちの間では「偉大なライカ」かもしれないけれども、会社の規模からすればライカなど、コニカに比べたら中小企業もいいところであり、売り上げ規模も大きく異なる。ところが、ライカ社は会社は小さくても自分の製品のブランドの重さと大きさをよく心得ており、昔からの名前で現在もきちんと商売をすることができることを承知している。ユーザーにとってもその意味は大きい。
 つまり、どのように大きなメーカーの優れたレンジファインダーカメラであろうが、Mマウント採用となれば、ライカと比較するとどうしても亜流という認識と捉えられてしまうわけである。

「ライカ的」カメラ

 「ライカ的」ではあるのだが、「ライカではない」という当たり前の話がここにあるし、他メーカーのブランドのレンジファインダーカメラはライカそのものを目指してはいけないのである。1950年代のころとは異なり実はユーザー側も他のブランドのメーカーが、あえてライカになる必要はないと考えている。
 ヘキサーRF登場時には、まだライカM7は存在のかけらすらも見せなかったから、巷では、ヘキサーRFがライカにOEM供給され、ライカM7として発売されるのではないかという噂も真しやかに流布された記憶がある。これはヘキサーRFのイメージを向上させることには貢献したのかもしれないが、ヘキサーRFのスペック自体がかなり本格的であるというところに、逆に弱さをみせてしまったことになりはしないか。ライカに近づきすぎてしまったことによる逆の弊害というものが出てきてしまったのかもしれない。
 なぜならば、しつこいようだけれど、ライカはライカであるという絶対的な事実があるわけで、亜流として登場してくる他のブランドのカメラならば、ライカからは、一歩引いた、奥ゆかしさが必要とされるのではないかと考えるわけである。
 ところが、ヘキサーRFの場合はライカM6にスペック的にも大きさ、重さでも、勝負を正面から挑んでしまったので、熱心なライカユーザーはライカと比較した論評をしだしたのである。
 こうしたことは実につまらないことなのであるが、ライカユーザーは結構真剣だったようである。

ミノルタCLE、ベッサの位置

 このことが、たとえばミノルタCLEには起らなかったことを考えると、ミノルタCLEはあくまでライカを主とした場合にみる従の関係であり、メインカメラ(ライカ)とサブカメラ(CLE)的な関係に自然と納まったということがいえるわけなのである。
 CLEはライカよりも言葉は悪いけれども、安っぽい感じがして、いかにも亜流のカメラであるという感じが出ていた。機能的には、ライカよりも進んだ絞り優先AEは採用していたけれども、ライカの存在に影響を与えることはなく、「一部のライカレンズを使うことができる、ミノルタの便利なカメラ」として、ライカユーザーも存在を認めたということなのであろう。
 また、コシナ・フォクトレンダーブランドの一連のベッサシリーズのレンジファインダーカメラも、言ってしまえば亜流のライカとも言えるわけなのだけれども、決定的に異なったのは、スペック的にはM型ライカよりも、意識的に抑えてある部分もあり、カメラ、レンズの価格設定を、これにまでないほどの廉価にしたことで、独自の存在感をみせた。
 コシナ・フォクトレンダーは、ライカの畑を荒らすものではなく、ライカ的なだけのカメラということで、認知されたのである。しかも、それだけではなく肝心のレンズの性能はライカレンズを凌駕するものを持っていたから、ライカユーザーも、この実用性には注目せざるをえなかった。これは大正解で、一般のユーザーもライカ的なものであれば、廉価ならば、使いたいと考えている人が多かったのである。

高級すぎたカメラ

 今のデフレ時代を象徴するような話ではあるけれど、もともとコストパフォーマンスの極端に低いライカを買うという決心を人に与えるのは「ライカ」というブランドであるからであり、「Leica」の正式な5文字の刻印がボディのどこかにエングレーブされていなければ、大枚をはたくことはない。つまり、これはライカ購入にあたっての自分へ(家人へという意味もあるだろうが)の言い訳が欲しいのである。
 そうした意味ではヘキサーRFは値段的にも、機能的にも高級な部類に属した。ライカM6の中古市場価格が暴落している今(中古と新品の価格を比べてしまうのは失礼だけれど)では、ヘキサーRFはことさら割高にも感じてしまうわけだ。
 ヘキサーRFは絞り優先AE内蔵で、自動巻き上げであり、デザインも個性があるから独自性があるではないかという反論はあるかもしれないが、ボディの大きさや重量感はライカM6に匹敵するものだし、M型ライカと併用して使うには、少々大きすぎたように思うのだ。ライカ的なカメラというには本格的すぎたのである。

それでもヘキサーRFを使う

 私も御多分に漏れず、ライカユーザー特有のヘキサーRFの悪口を書いてしまったが、これは本稿の意図するところではない。遅くなってしまったが、「私がそれでもヘキサーRFを使う」理由をここで述べてみたい。
 どういう経緯でのリークかは不明だが、コニカがMマウントレンジファインダーカメラを開発中という噂は、その登場のかなり前から業界関係者の間では、まことしやかに流れていて、具体的なスペックなどまで聞こえてくる始末で、それなりの信憑性もあった。
 さすがに実際に登場したヘキサーRFは私の想像する以上のスペックをもっていた。何よりも感動したのはすでに本格デジタルカメラ時代の幕開けが予感されているこの時期にこれだけのプロジェクトを進めたコニカの英断と勇気には賞賛する、というか、この仕事はコニカでなければできなかったかもしれない。
 最初にヘキサーRFを見たときの印象だが、ボディ外装を全てチタン、金属製にするなどの、趣味的部分の凝り方にまず感動した。このことは大賛成なのだが、いかんせんヘキサーRFにはデザイン的な色気が少し足りないと感じた。どこかM5を思い出させてしまうような雰囲気もあるのだが、「小さくて緻密」な感じがあまりしないところに問題があるように思った。これもM6とほぼ同じくらいの大きさと重量だったから採点が辛くなるのである。
 ヘキサーRFのファインダーのブライトフレームは28/90、35/135、50/75ミリとM6、M6TTLと同等なのだが、ファインダーの倍率を0.6倍に下げることで、28ミリのフレームを見やすくした。これは広角レンズ使いには評価されたが、ブライトフレームの微妙なタル型の歪みが気になった。なんと取扱い説明書のファインダーのイラストのフレームまで御丁寧なことに曲がっているのである。こうした自信なさげな表現は困ったことである。いまからでも即刻直すべきであろう。
 ファインダー内のシャッター速度表示はやや派手だ。LEDの赤点灯が気になるのだが、ファインダーを完全にしなおかつファインダー内の表示をしっかりやるとなれば、これしか方法がなかったのだろう。ライカM7のデジタル表示とはまったく異なる。

ヘキサーRFの優位性

 ヘキサーRFは、当り前のことだが絞り優先AEを採用しているということが大きなアドバンテージになっている。私自身、実はAEの使用頻度はさほど高くはないのであるが、露出に悩むような複雑な光線状態で撮影する場合、カメラが読んだ露出とはどういうものか?ということを知りたいと思う時がある。これはデジタルカメラでいう悩んだ時のAWB設定のようなものだ。
 さすがに長く写真をやっていると、ほとんどの撮影条件、光線状態での露光値というのはある程度検討がついてしまうものだが、時として、カメラそのものが一生懸命考えたであろう、露出値で撮影した結果を意識的に見たいと思うのである。
 ヘキサーRFのメーターはシャッター幕面の測光方式であり、シャッター羽根の中央部分は測光用に長方形にグレーになっているが、この細長い測光範囲に味つけがあるようだ。ライカM7のような厳密なスポット式測光だと、全ての撮影条件において、被写体の反射率や濃度によって、神経質に露光補正を行いたくなってしまい、最後には面倒くさくなって、結局は単体の露出計を使ってマニュアル露出で撮影したりしていることがある。
 ところが、ヘキサーRFならば、俗に言う中央部重点測光だから、無難な測光値になるので、ほぼ通常の被写体や光線状態ならば満足した結果を得ることができる。
 それでも時として私が自分で読んだ値と微妙に異なる値が、ファインダー内に表示されている場合がある。言い換えれば、被写体のどこを測光しているか、どの反射部分に影響を受けているかは完全には知ることのない曖昧さがあるわけだが、もしかすると私の経験上の露光値よりもヘキサーRFが読んだ光の値のほうが正確なのではないかと思わせることがあるのだ。
 ミノルタCLEも中央部重点測光であることをうたってはいたものの、シャッター幕面の反射用のパターンをみてみると、どう考えても平均測光に近く、精度的には問題なことも多かったし、画面周辺に光源があると、すぐにそれに引きずられたりしていたので、あまり感心したものではなかった。
 ヘキサーRFの場合は、思いきってカメラ任せで撮影し、現像の結果、意外にも露出が自分のイメージに近かったりするこということも、ままある。とくにカラーリバーサルフィルムにおいては、露出設定は1/3絞りでも如実に結果に反映される要件であるから、出来上がったものが、私の判断よりも良ければ自分の想像を超えたところに回答があったものとして、高く評価したくなるわけなのだ。AEの場合は無段階にシャッターが変化するわけだから、マニュアル設定よりも微妙な露光が与えられるのではという期待も出てくる。どこかカメラ任せの賭けが楽しいカメラなのである。

優れた自動巻き上げ

 次に内蔵の自動巻き上げの効用である。昔流に言うなら、モータードライブ内蔵ということなのであるが、シャキシャキと連続撮影できるヘキサーRFでは、手ぶれの心配が皆無である。しかも動作音も金属質な音はするものの、ミラーの作動がないため、ショックはなく落ち着いて聞こえるほうである。
 よく気取ったライカ使いが酒席などの集まりで、いかに手動巻き上げで連続撮影が可能かということを、酔いにまかせて競いあったりしているが、素早く巻き上げれば、カメラは大きく動いてしまう。すなわち手ぶれに繋がるわけだから、見た目のかっこよさよりも実用的ではないのである。
 ヘキサーRFではじつにスマートな作動が期待でき、仮に連続撮影しても一眼レフのようにブラックアウトすることがないから、撮影時には、シャッターが作動した瞬間も被写体を観察し続けることができるという快楽がある。ライカにもM2とかM4、今のM7やMPにもモータードライブは用意されているわけだが、機械的な連動には、どこか無理矢理に装着して使っているという感じがして、作動感触も絶望的に悪いものだ。
 ライカでは絶対に手巻き派の私だが、依頼仕事では、短時間にいかにシャッターを多く切り、様々なカットをものにするかということが大事になる場合が多いのだが、こうした場合では、ヘキサーRFの独壇場になる。こうしたところにもヘキサーRFの存在意義があるのだ。

非球面を使わないレンズ

 肝心のレンズはどうだろうか。ヘキサーRF用に用意されたヘキサノンKMマウントレンズは21/35のデュアル、28、35、50、90ミリ各レンズである。他にミレニアム記念ボディとセットで売られた50ミリF1.2というレンズもある。
 実はこれらも価格的にはライカに迫るものがあって、このことについてはあまり感心しないのだが、光学設計コンセプトはコニカ独自ともいえる骨のあるものだった。
 あまり言われないことなのだが、一般的なヘキサノンレンズには非球面レンズが使われていないという事実がある。これは、最近のライカレンズや、コシナ・フォクトレンダーレンズとは逆のベクトルの設計思想である。
 それでは、ライカやフォクトレンダーレンズに比べてヘキサノンの性能が劣るのか?と言われればこれは大きな間違いで、逆にヘキサノンレンズ独自の味を出していくことに成功している。
 非球面レンズを使えば、それ以上の性能向上が望めることは明らかだが、ヘキサノンは微妙に残る収差の影響をも加味した設計思想を出すことで、個性を出そうとしている。これは高く評価したい。数値性能に優れるレンズが必ずしも、写真的に優れたレンズではないということをはからずも実証しているようであり、これは光学設計者にとっても大きな決断であったに違いない。私もあえて、モノクロ写真で独自の雰囲気を求めたいという場合は、あえてライカやフォクトレンダーレンズではなく、ヘキサノンレンズを選択することもある。

ヘキサーRFへの期待と展望

 ヘキサーRFには他に75ミリ、135ミリのフレームもあるが、いまだこれに対応するヘキサノンKMマウントレンズは登場していない。おそらく今後も登場するのは期待薄だろうが、フレームに対応するオリジナルのレンズを出さないということは、ある意味では失礼なことである。これらのレンズはライカやフォクトレンダーブランドのものを使えということなのだろうか。マウントに互換性があるのだから、実用上は一向に構わないのだが、最初から商売にならないものとしてあえて製品化せず、75ミリや135ミリはライカやフォクトレンダーレンズを使うことを前提としているならば、これは逆にライカを意識しすぎたカメラとしてヘキサーRFは認識されてしまう危険がありはしないか。いっそのことフレーム表示はひとつにするなどして、すっきりとした視野が確保できたら、また異なった評価が与えられたように思うのである。
 ヘキサーRFは、このようにあまりにも高級、本格的すぎたことゆえに大ヒット作とはなっていない。成績優秀な生徒が必ずしもクラスでは人気者ではないという意味にも近いようにも思える。
 もし、万が一今度のミノルタとの経営統合によって、ヘキサーRFの販売が中止されでもしたら、大騒ぎとなり人気沸騰となるに違いないであろう。こうした現象が起これば、ユーザー側の卑しさも出てきてしまうが、絶対にあってはならないことで、コニカでも本意ではないはずである。なぜならば、これではヘキサーRFは単たる一過性のライカブームに乗ったカメラという程度で終わってしまうからだ。
 今後はゆっくりとヘキサーRFシステムを熟成してゆくのだという気概を持って今後の製品開発に挑んでいただきたいものであるし、もう少しユーザーに将来への期待を持たせるインフォメーションをしてほしい。こうした姿勢をみせることで、ヘキサーRFのシステムは時間はかかるかもしれないけれど、次第に認められてゆくはずである。
 個人的にはもっと小型で廉価なたとえばミノルタCLEの後継機的な存在となるカメラが欲しい。
 すでにM型ライカの歴史は半世紀にも及ぼうとしているのだ。歴史の浅いヘキサーRFが性急にライカに追いつき、追いこす必要はまったくなく、またヘキサーRFがライカになる必然性もないのである。

 

 

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ライカMP6-1
ヘキサーRFのユーザーインターフェースはコンタックスG2によく似ている。操作部のレイアウトもほぼ同じである。パーツもそっくりなのだが、まさか共用されているわけでもなかろう。オリジナリティがあるようで、ないという結論になる。
 
ライカMP6-2
M型ライカのカメラ底からのフィルムの入れにくさを思えば、「普通のカメラ」としてフィルム装填ができるのはありがたい。シャッターは縦走りのメタルフォーカルプレーン。最高速度は1/4000秒なので、明るい場所でもレンズを絞り込まずに撮影できる。シンクロ速度も1/125秒と高速である。
 
ライカMP6-2
コニカではKMマウントと呼ぶが、ライカMマウントと同形式である。ヘキサーRFユーザーのなかでヘキサノンレンズを素直に装着している人はどのくらいいるのだろうか。フレームセレクタ−レバーもきちんと用意されているから、こうした細かいところもライカに迫ろうとしたのだろうか。
 
ライカMP6-2
ヘキサノンレンズの鏡胴はかつての一眼レフ用レンズのカラーを踏襲しているのが面白い。ローレットの刻みも独自のものであるが鏡胴のデザインはライカレンズに似すぎている。どうせなら、60年代くらいのライカレンズのデザインを踏襲するべきではなかったか。35F2とか28ミリF2.8レンズには立派な金属製フードが用意されているのは素晴らしい。このあたりはライカよりも優っている。ただし、いずれのレンズも少々値がはるのがどうしても気になる。
 
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