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仮にOさんとしておこう。私より若年だが、彼の使うレンズやカメラが気になった時期があった。その傾向といおうか、彼の流れにはなかなか説明し難いものがあるけれど、不思議に説得力のあるモノ選びをする人物なのである。ライカとかコンタックスとか、あるいはもっとマニアックなブランドにも詳しいが、それに大きな魅力や価値を感じているというのでもなく、安い価格で評価されているカメラやレンズも同列に眺めているらしいところがあって、常に興味深い。映画や演劇にはキャスティングというものがあるが、O氏のカメラレンズ選びにはそうした感じに近いものがある。O的カメラ世界の配役のアンサンブルの面白さが、個々の脇役のようなカメラ、レンズにも個性的な魅力を与えているようなのだ。それはたとえば独逸マイヤー製のトリオプランといった普及タイプのトリプレットレンズを、キノプラズマートといっしょくたに楽しむようなことでもあった。キノプラズマートはルドルフが設計したりもして高価なレンズだが、トリオプラン系はどれも廉価だ。しかし、収差のかなり残っているトリオプランの写り味がなかなか良いものだと気づく人はそう多くはない。私にとってはかなり新鮮な体験であった。
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