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ベッサフレックスTMに装着したコンバートタムロン。パンダチックなピントリングの派手めなスタイル。

 

 物好きという言葉がある。辞書を引くと、「普通の人があまりやらない(やりたがらない)事を好んですること。また、その人」(三省堂新明解国語辞典)とある。普通の人がやりたがらないという表現は、なんとも我が身に引き当て可笑しくなる。しかし誰しも、心の中でこの物好きを何匹か必ず飼育しているはずである。

 

※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。

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マウント部がネジ式にはずれ、この間にコンバーションレンズをつける。焦点変換には大いに手間がかかりそうだ。
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白文字が135ミリ時の、そして緑文字が225ミリ時の絞り値となる。ほぼ一段半の明るさの違いが生じる。

 中古のカメラを売っているような場所は私などには遊園地みたいなものだと言っても、多くの方には諒解していただけるかと思う。そこにはジェットコースターやメリーゴーラウンドはないけれど、店に入れば頭の中は物欲と好奇心がめまぐるしいスピードで回転し始める。しかも少し通い慣れてくると、ジェットコースターの最後席を選んだりと手の込んだ遊び方をするようになる。その日も高価なブランドカメラの棚の前を素通りして、隅のほうのジャンク品の溜まり場に直行した。そこにはスピラトーンとかサンセットとか、アメリカのディーラーブランドの、今となっては不思議なズームレンズとか、安価な望遠レンズ類が山積みになっていた。中身はもちろん日本製のいわば出戻り組だ。しかし、その中には少し変わったレンズマウントのものがあったりするから、スペック的には大した魅力がないレンズでも貴重品になったりする。さすがに店のほうでも、初期のライカフレックス用などは高めの値段をつけていたりするが、イカレックス用などは捨て値同様で売られていたりする。それだけではなく、日本製とは言え、日本国内では販売されなかった、あるいは少数しか販売されなかった製品を出戻りの中に見つけることができるのだ。この時はタムロン製の幻のレンズを見つけることになった。35ミリ判一眼レフ用レンズとしてはもしかすると最初の2焦点レンズである、コンバートタムロン135ミリF4.5+225ミリF7.7だ。値段は捨て値でもなく、しかし特に高値ではない微妙なところで、店の値づけに迷いがある気合の入っていないものだった。こういう場合は買う方も困る。そしてひとつ大きな問題があった。欠品である。この2焦点レンズは単体では135ミリF4.5、それに専用のコンバーターをつけることによって225ミリF7.7レンズになる。その肝心のコンバーションレンズが欠けていたのだ。充分に迷ったが、こうした場合の原則、「とりあえず買っておく」に従って手に入れてみた。

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左からオリコール135ミリF3.5、コンバートタムロン135ミリF4.5、フジタ135ミリF4.5の各レンズ。
同時代のプリセット絞りつきの135ミリレンズだ。タムロンの小ささがよくわかる。
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そこそこのシャープさのレンズ描写である。後ボケはあまりよくないが、意外と発色がきれいなのが印象的である。
ベッサフレックスTM 絞りF5.6 1/250秒 プロビア100F

 現在では屈指のレンズメーカーであるタムロンは旧社名を泰成光学という。ブランド名のタムロンは同社のレンズ設計者、田村右兵衛氏の名前からとられたことは有名だが、自社ブランドでの販売以外に輸出用、さらに国内カメラメーカー用にOEM製品を多種生産していた。渋いところではオートテラのレンズも泰成光学らしく、ミランダ ソリゴールとのつながりも深い。

 そしてマウント交換システム、現在でも天体望遠鏡用のカメラマウントなどに使われているT、T2マウントの創始者でもある。さてこのコンバートタムロンは細身で小さな望遠レンズだ。F4.5という小口径のためでもあるが、同時代のフジタ135ミリF4.5よりコンパクトでなかなか魅力的である。絞りリングには135ミリ用と225ミリ用の2種類の絞り値が刻まれている。最短撮影距離は7フィートと、135ミリとしては遠いけれど、225ミリではかなりクローズアップができそうだ。しかし、欠けたコンバーションパーツが手に入るまでは、開放値F7.7という暗いファインダーを覗くことはできない。さらにはコンバーションパーツだけの入手はかなり困難と思われるのも、物好きの楽しみがさらに大きく感じられてワクワクしてしまう。久し振りにジャンク箱の奥からコンバートタムロンを見つけてとり出してみると、物好きの血がまたひとしきり騒ぎだしたのである。ズームレンズで名を売り出す前のタムロンの2焦点レンズの欠品がこれからの人生の支えになりそうだ。古いカメラ雑誌にこのレンズの紹介記事があって、そこではデュオ・タムロンという製品名になっていた。

 

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このような被写体ではプリセット絞りはすこしつらい。昔の人はよく使いこなしたものだと感心する。周辺光量は少し不足気味になる。
ベッサフレックスTM 絞りF5.6 1/250秒 プロビア100F
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