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連載スタートにあたって、円谷円先生からコメントをいただきました。
こちらの映像で御覧頂けます!

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第二回 僕が『ニコンFA』を好きな理由

 僕は「使ってみなければ、わからない」を錦の御旗に様々なカメラを購入し、使ってきました。しかし、使ってみたけど、どうも僕に合わない、というカメラも少なくありませんでした。いってみれば、僕との相性が良くなかったからです(もしかすると、カメラのほうが僕に愛想を尽かしたのかもしれませんが……)。 

 といったことを書いたり、講演会でしゃべったりしてきましたが、一方では、自分が気に入ったカメラ、それもかなり前に発売されたカメラを大切に長く使っている方もたくさんいます。そうした方を撮影先などで見かけますと、撮る格好が見事に決まっていて、姿が驚くほど美しい。惚れ惚れしてしまいます。カメラがその人の身体の一部になっているからでしょう。そうした方を見ると、うらやましいなァと思うこともあります。だって、ぞっこん惚れたカメラに出会えたのですから。 

 僕みたいに、いろいろなカメラを使っていると、撮影先で戸惑うこともあります。たとえば、交換レンズを着脱するとき、レンズの回転方向はメーカーによって異なりますから、昨日まで使っていたカメラのつもりで、間違えて、あれ?何でレンズが外れないんだ、なんていうことも時々あります。
 それでも、カメラが好きだから、つい隣の芝生が青く見えてしまい、またまた、新たに購入してしまいます。性分なんでしょうかね。

※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。

<写真1>ニコンFA
FAに搭載された世界初のマルチパターン測光は5分割測光で、その後登場した『ニコンF4』にも採用された画期的なものだった。また、FAは第1回のカメラグランプリを受賞した栄誉あるカメラでもある。

 そんなこと繰り返しているから、講演会などで、皆さんに一番好きなカメラはなんですかと聞かれると、困ってしまいます。一瞬、なんて答えようかと悩んでしまいます。それに、好きなカメラ、イコール仕事用カメラではないので、余計に困ってしまいます。

 じつは、先日のメディアジョイでのトークショーでも同じ質問をされました。そのとき僕は『ニコンFA』が一番好きだと答えました。

 ライカの本を書いた僕が、一番好きなカメラが『ニコンFA』とは。意外だと思われたかもしれません。なぜ『ニコンFA』が好きなのか。トーク・ショーでも理由を簡単に説明しましたが、舌足らずだったので、もう少し詳しく話してみたいと思います。

 

 『ニコンFA』が登場したのは 83年。世界初のマルチパターン測光、そしてニコンでは初のマルチモードAEを搭載したFAは憧れのカメラでした。でも、ボディーだけで11万5000円。当時の僕には、おいそれと買えるようなカメラではありませんでした。

 発売から8年経って、『ニコンFA』の中古を手に入れました。そのころはもう製造終了で、新品はなかったと思います。中古とはいえ、憧れのFAを手に入れた嬉しさはひとしおで、できればカタログも欲しいと思い始めました。
 その年の2月末、恒例の「日本カメラショー」を見に東京・銀座の高島屋(当時、東京では高島屋でおこなわれていた)へ行ったとき、FAのカタログが欲しいとニコン・ブースを訪ねましたが、案の定、現行品ではないから、カタログはもうないといわれました。
 やっぱりそうかとがっかりしていると、ブースにいた女性社員が
「私、たしか一部持ってます。個人用ですが、机の中にあると思うので、あったら、あとでお送りします」
と、いうではありませんか。
 後日送られてきたカタログに入っていたのが、写真2の送付状でした。そして、女性社員の私物だったFAのカタログが写真3です。

 

<写真2> ニコン書類
カタログ送付表には、最後のカタログだとあった。なぜかこの送付表は捨てられず、今も大切にとってある。
<写真3> FAカタログ
1986年12月20日と日付が記載されているFAのカタログ。当時のカタログは、こんなふうにみんな日付が入っていたのだろうか。僕にとっては貴重品だ。

 

 手に入れた最初の『ニコンFA』は、その後、どうしても他のカメラが欲しくなり、手元から消えてしまいました。でも後日、余裕ができたので、新たに中古のFAを購入しました。ですから、現在持っているFAは当時のものではありません。

 FAは好きな人と嫌いな人がはっきりしているカメラではないでしょうか。マルチモードAEがどことなく初心者向きのカメラみたいだ、という人もいます。また、ジャキーンというような濁ったシャッター音がいやだ、という人もいます。ちなみに僕は、このシャッター音はFAならではの音だと思ってます。これがもう少し金属に近い音だったら、好きにはならなかったでしょう。また、台形状のファインダー部も大好きです。

 そして、それよりもなによりも、FAが好きになった一番の理由は、自分が持っていたカタログを譲ってくれた、女性社員の好意だったかもしれません。

 その女性社員はニコンカメラ販売のKさんでした。のちに取材でニコンカメラ販売にお邪魔するようになったときには、結婚で退社していました。

 なんだ。『ニコンFA』が好きな理由って、そんなことだったのかと思う方もいるかもしれませんが、こういうことって結構大事なことだと思うんです。

 逆の場合の事例もよく耳にします。
 愛機をサービスセンターへ持ち込んだら、担当者の応対が横柄で、頭にきて、次の日、今まで使っていたカメラとレンズを全部売り払って、他社のカメラとレンズに替え、以後、そのメーカーのカメラとレンズは絶対使わないという人が身近にいます。皆さんのまわりには、そうした方はいませんか。
 
 最初に話した、今も古いカメラを大切に使っている方は、きっと、カメラそのものだけでなく、サービスセンターの応対も良かったからかもしれませんね。

 貴方の一番好きなカメラは何ですか。そして、好きな理由は何ですか。よく撮れるからですか。手になじみやすからですか。それとも……。

 今度、メディアジョイで講演する機会があったら、皆さんの好きなカメラとその理由を皆で話し合う、というのも面白いかもしれませんね。


FAで撮った富山市でのスナップをご覧ください。

※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。

<写真4>
JR富山駅前にある「富山の薬売り」の彫像。富山市を象徴する被写体だったので、思わずパチリ。
<写真5>
富山市内を走る市電。富山市民の足として活躍している。
<写真6>
富山駅〜岩瀬浜駅を走るJR富山港線のワンマン気動車。終点の岩瀬浜駅まで20分少々だが、ローカル線気分を味わえるので、富山で時間があったら、乗ってみたらいかが。
<写真7>
ホーム側から撮った、富山港線終点の岩瀬浜駅舎。スケールダウンすれば、鉄道模型で使えそうな駅だ。

(c) 2006 photovoicebb.com