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Bessaflex TM
ライカMP6
※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。


ベッサフレックスTMの詳しい仕様等につきましては、こちらのページをご覧下さい。 
http://www.cosina.co.jp/bessaflex/index.html

 

第1章 ベッサシリーズの延長として誕生
第2章 とにかくM42マウントが最大の特徴
第3章 敢えて絞り込み測光を採用
第4章 マグネシウムカバーは金属部品を多用
第5章 作例

 

 「こいつはペンタックスSPだ」ベッサフレックスを初めて手にしたときの正直な感想である。特に露出計のスイッチをはじめとする操作部材の位置がペンタックスSPとそっくりなので、カメラを構えたときに、ペンタックスSPを手にしたような錯覚を起こしてしまう。
 だがファインダーを覗いたとたん、現実の世界に引き戻される。まずペンタックスSPに比べ格段にファインダーが明るい。さらに露出を示す指針がなく、やけにファインダー内がすっきりしている。次に露出計のスイッチをオンにすると見慣れないLEDによる表示が現れる。つまりペンタックスSPのつもりで撮影を始めると、段階を追って最新型の一眼レフであることに気付く演出になっているのだ。
 

ベッサシリーズの延長として誕生

 1999年にコシナが復活させたライカ型レンズ交換式35ミリカメラ、ベッサシリーズは、従来からあるコシナ製一眼レフをベースに開発された。要するに一眼レフのボディからミラーボックスとペンタプリズムを取り去り、ミラー駆動のメカニズムを遮光用二重シャッター幕の動作に転用して誕生したのがベッサLだ。このカメラはやがてレンジファインダーを備えたベッサRに発展するが、今回レポートするベッサフレックスは、ベッサシリーズを再度、一眼レフに作り替えたモデルである。どこか非常に遠回りをしたような気がするが、決して出発点に戻ったわけではない。「レンジファインダー機ファンの過酷な要求」という荒波に揉まれ、まったく新しいカメラに生まれ変わったのだ。

とにかくM42マウントが最大の特徴

 ベッサフレックスの最大の特徴は、レンズマウントにM42を採用したことだ。今さら説明するまでもなく、M42マウントは1960年代をピークに世界中のカメラメーカーが採用。一眼レフのユニバーサルマウントとして全世界に君臨した実績がある。そのためこのマウントを採用した夥しい種類の交換レンズが世界中に存在する。ベッサフレックスは、これらのレンズを過去の遺物とせず、資産として活用するために誕生したのだ。  

敢えて絞り込み測光を採用

 ベッサフレックスの測光方式は絞り込み式である。開放測光が主流の現在、時代遅れのように思えるかも知れないが、実はこの部分に「どんなレンズでも測光ができる」というベッサフレックスのコンセプトが強く現れている。過去にM42マウントで開放測光を実現したカメラメーカーは、マウントの仕様があまりに単純なため、開放測光を実現する際に、たいへんな苦労を強いられた。たとえばフジやオリンパスなどは、ねじ込んだときにレンズを定位置に係止させるためマウントにストッパーを設けているし、旭光学(現ペンタックス)は、レンズ側に基準となる突起を設け、カメラ側のマウント内に設けたレバーで、突起と絞り環の角度を読み取る複雑なメカニズムを採用した。この結果、M42マウントでありながら他社との互換性を持たない製品が次々と誕生。M42マウント最大の特徴である高い互換性が失われる結果になった。結局M42マウントは開放測光という時代の波に呑まれたのである。
 ベッサフレックスはM42マウント衰退の原因となった開放測光を避け、M42マウントの黄金期ともいうべき時代のスペックを敢えて採用している。これは何よりも高い互換性を優先した結果と言えるだろう。なお自動絞り機構については、旭光学と同じくレンズ後部のピンを押し込む方式を採用。これはオリジナルのM42マウントにはない仕様だが、旭光学のこの時代のレンズは中古市場に豊富に出回っているうえロシア製レンズの中にも同様の絞り機構を採用した機種が多い。恐らく多くのユーザーが恩恵に浴することを見越して、コシナはこの方式を採用したのだろう。さらにベッサフレックスの測光方式の場合、自動絞り機構のないレンズでも測光が可能である。つまりカメラボディに装着さえできれば、あらゆるレンズで測光ができる
 測光スイッチの形状と位置は、M42マウント仕様の往年の名機、アサヒペンタックスSPとまったく同じ。マウント脇にある測光スイッチを上にスライドさせると絞りが絞り込まれると同時に露出計のスイッチがオンになる。またシャッターを切ると自動的に元の位置に戻る点もペンタックスSPと同じである。なおベッサフレックスでは電池の不用意な消耗を防ぐため、スイッチをオンにした後、シャッターを切らないでいると30秒後に自動的にス露出計のスイッチがオフになる。
 測光値はファインダー内左側に3つのLEDで表示される方式である。非常に単純な方式だが、2つのLEDが同時点灯することで、かなり細かな露出を読みとることができる。測光分布は中央重点測光。カメラの測光のクセが容易に把握できるので、上級者にとって歓迎すべき方式といえる。
 絞り込み測光の場合、絞り開放の状態でピントを合わせ、測光の際に絞りを絞り込むのが通常の使い方である。これはファインダーが明るい方がピントが合わせやすいからだ。だがベッサフレックスの場合、この順番を変えても大丈夫だ。フォーカシングスクリーンが非常に明るいのでF5・6程度まで絞りを絞り込んでも容易にピントが合わせられる。さらに開放F値の暗いレンズや手動絞り込み式レンズなどを装着したときにも、このフォーカシングスクリーンが威力を発揮する。

マグネシウムカバーと金属部品を多用したボディ

 最初に「手にしたときの感触はまるでペンタックスSP」と書いたが、実はひとつだけ違うことがある。それは、ペンタックスSPほど冷たさを感じないことだ。ペンタックスSPのボディカバーは真鍮製であるのに対しベッサフレックスのボディは熱伝導率の低いマグネシウム製。金属製であることに違いはないが、触ったときにヒヤッとした金属独特の感触が得られない。見た目の質感や堅牢性など、実用面ではまったく問題ないが、ちょっと寂しさを感じる部分だ。またベッサRシリーズと同じくシャッターダイヤルや巻き戻しクランクなど手が触れやすい部材は、金属製なのはとても好感が持てる。ただ残念な点は露出計のスイッチがプラスチック製であること。操作頻度が高く指で触れている時間が長い部分だけに、ぜひ金属製に変更して欲しいと思う。

 

 

※写真をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます。
ベッサフレックスの魅力は何と言ってもM42マウントを採用していること。ペンタックスのタクマーをはじめロシア製レンズなど多彩なレンズを使うことができる。

 

ベッサフレックスとペンタックスES
マウントの形状だけでなく自動絞りの連動機構も共通になっている。 マウント内の真下に見える部材が絞り込みレバー。

 

上から時計回りにロシア製レンズ、フォクトレンダーウルトロン40ミリF2(コシナ製)、スーパータクマー55ミリF1・8。マウント面にあるピンからも分かるようにペンタックスとコシナ製レンズの絞り連動機構はまったく同じ。なおロシア製レンズに絞り連動機構はないが、ベッサフレックスでも測光が可能。

 

ボディ上面のレイアウトは一眼レフの定番スタイル。シャッターダイヤル、シャッターボタン、ISO感度ダイヤル、巻き戻しクランクは金属製である。

 

上下カバーと裏ぶたはマグネシウム製。堅牢性が高く高級感があるが、残念ながら「触ったときに冷たい」という感触は味わえない。

 

マウント脇にある測光スイッチ。このスイッチを上にスライドさせると露出計のスイッチがオンになると同時に絞りが絞り込まれる。シャッターを切るとこのスイッチは自動的に元の位置に戻る。スイッチが金属製でないのがつくづく残念。余談だがTMはThread Mount(ねじ込み式マウント)の意味。

 

クリップオンタイプのストロボを使う場合は、シューアダプターを使用する。

 

ボディ底部にはトリガーワインダー用のカプラーが標準装備されている。
 

(c) 2006 photovoicebb.com